お茶の木の品種

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【 お茶にもある、たくさんの品種  】

 

林檎の、フジや王林
葡萄の巨峰やカベルネ・ソーヴィニョン
お米で言うとコシヒカリや秋田こまち。

それぞれの野菜や果物に品種があるように、お茶の木にも品種が存在します!

 

その数は登録してあるだけでも100種類以上!
お茶は単年作物の野菜と違い、果樹なので品種改良にはかなりの年月がかかります。

20年ほどかけて選抜される品種がこれだけの数あるのはすごいことです!
その割に、あまりお茶の品種の名前を世間で聞かないのはなんででしょう?

 

 

 

【 ほとんどのお茶はブレンドして売っている 】

 

実は、皆さんが普段飲んでるお茶のほとんどはブレンダーによってブレンドされているお茶なのです!
産地や品種、生産者。。。お茶の個性は色々な要素で決まります。

それを混ぜる事で通年同じ味のお茶を再現する。
それが茶匠の役割です。

皆さんよく知る伊藤園や福寿園は、皆この茶商さんです。

強みは栽培管理ではなく、ブレンドだったのです!

じゃないと、お~いお茶はあれだけの数作れません!

 

 

 

日本茶は長い間、茶匠の手でブレンドされて来ました。

お茶の品種それぞれの個性は、ブレンドの時に味や香りの決め手として使われています。

皆さんは普段から知らず知らずに、色々な品種のお茶を飲んでいたのです!

 

 

特に多くの品種が混ざるのは、日本で一番たくさん飲まれているおーいお茶。
茶道の抹茶なんかも色々な比喩をブレンドして、家元お好みとして売っています。
お茶の品種は、日本茶の美味しさを影から支えてくれていたのです!

 

 

 

【 植物の品種ってどうやって作るの?  

 

お茶には品種がたくさんあるとお話ししましたが、それってどうやって作るのでしょうか?
そもそも、植物の品種ってどうやって作るのでしょうか?

 

遺伝子組み換え・・・?

そう聞くと、とたんに危険な香りがしますね。

しかし植物の品種改良の歴史はとても長いのです。

 

 

植物には、たくさんの種類があります。
桜とか、柿とか。この違いが作物毎の違いです。
品種は、桜の中の違い。ソメイヨシノとヤマザクラ、同じ桜でも遺伝子が少し違うので別々の色の花を咲かせます。
そして、同じソメイヨシノ、ヤマザクラが同じ形や色の花を咲かせるのは、全く同じ遺伝子を持っているからです。

 

 

実は植物の品種とは、人間が安定的に扱えるように作り出した、クローンの事を指します!
クローンと行ってもラボで羊を作るようなものではありません。安心してください!
挿し木とか、接ぎ木、取り木と呼ばれる方法で行います。
皆さんでも家庭でやろうと思えばやれる方法です!

これはどうやるかというと、植物のもつ再生能力に頼るのです!
桜の枝を切ると、切り口からすぐ次の芽が伸びまた枝になるのです。
この力を生かした様々な方法で同じ個体を増やしたのが植物のクローン。品種です。

 

 

昔から人はすごく甘い柿や、色のいい桜を選抜して、クローンを増やして来ました。

知ってましたか??ソメイヨシノは江戸時代に選抜された品種です。
近年になって種で育てる植物、トマトやキュウリ等も品種選抜が出来るようになり様々な野菜が増えています。昔は種子からの植物は品種選抜が難しくあまり行えなかったのです

 

 

お茶も種子で中国から伝わって来たので、品種選抜を開始したのは桜や柿のような果樹に比べて遅く、20世紀からです。
それまでは全て種子で植えていました。

種で増やしたお茶の木を、今では品種の木と分けるように在来の木と言います。

 

 

 

【 何が違うの、品種と在来 】

 

その昔、中国から種でお茶を持ってきたのは仏教徒の僧侶達でした。
彼等は日本中のお寺に種を分け、寺院はお茶を薬として自分たちの荘園で栽培しました。
これらの茶園は今でも少し残っていて、それぞれ別の形の葉や、違った色の芽をしています。

このような種で植えたお茶を、在来のお茶 と言います。

 

 

茶の木を学生、茶園を学校のクラスと見立ててみましょう。
在来の茶園は30人別の子が集まったクラス。足の速い子もいれば、勉強のできない子もいる。
30人全体でそのクラスの色を出します。
品種の茶園は、30人全員が田中さんとその分身で集まったクラス。
田中さんは顔が丸いので30人みんな丸い顔です。田中さんの個性がそのクラスの色です。

 

こんな具合に、在来のお茶はそれぞれ別の遺伝子のお茶の木なので茶園をみると何だか不均一です。

甘いお茶と苦いお茶と隣り合って生えているのが在来の茶園。品種にはない複雑な香味があります!
比べて、品種の茶園は同じ遺伝子で揃ってるので見た感じピシッとした雰囲気があります。味や香りも揃っていて、個性が際立ちます。

 

 

 

【 お米で言うとコシヒカリ、お茶のメジャー品種 やぶきた】

そんな品種の中で、特にたくさん作られているのが、やぶきたという品種。
日本のお茶園全体の6割ほどを占めるメジャー品種です。

 

お米の世界でも、コシヒカリという有名な品種がありますが、それでも4割ないくらい。 やぶきたが持つ魅力がとてつもない事が分かります!
やぶきたが選抜されたのは昭和の初め頃。普及し始めたのは昭和40年代と言われています。

やぶきたの物語こそ、戦後日本茶の歴史…
日本茶を劇的に変えた、やぶきた。

そして今、やぶきたに埋もれていた品種たちにもスポットライトが当たる時代が来ています!

少しマニアックな世界ですが、微妙な品種の違いを感じてください!

 

 

 


2015-08-22 10.50.15

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