[ 日本で作る釜炒り緑茶 ]
釜炒りの緑茶は中国で主に作っている緑茶です。
お茶の葉を蒸さずに釜で炒って作る事で、日本茶にあるようなガツンとした甘味や旨味とは違う、華やかな香りが特徴のお茶になります。
釜炒り茶は、明の時代に日本に伝わった作り方で、九州の一部地域で今でも作られています。
その頃から今に至るまで、基本的には家庭で作る日常のお茶だった釜炒り茶。庭に植えたお茶の木を季節で摘んで家族総出でお茶にして飲んでいたようです。
つまり、味噌や醤油と同じ感覚で、釜炒り茶は「家庭の味」だったんです!
実は釜炒り茶が産業として成立してきたのは戦後、機械作りが普及してから・・・
それまでは家庭の味だったので色々な作り方をしていたみたいで、手順も手揉み茶のようにハッキリ分かれていませんでした。
手揉み茶はその手順として、蒸し→葉ぶるい→軽回転→重回転→中上げ→揉み切り→転繰り→こくり→乾燥 と決まっています。
一方で釜炒り茶は、炒り→揉み→乾燥 はだいたい共通ですが、何度炒るのか、何回揉むのかは家庭によって違っています。
つまり、「だいたいこんなかんじ!」だけあって細かな部分はかなり違っていたようです!
[ 炒り方で変わる香り!日本式と大陸式 ]
日本の釜炒り茶と中国の釜炒り茶。
一体何が違うかというと、ほしい香りが一番の違いだと思います。
中国では日本の釜炒り茶にある「釜香かまか」と呼ばれる香りのお茶はあまりなく、お茶の葉自体からでる個性豊かな品種の香りが好まれています。
中国人の好きな香りは烏龍茶のような華やかな香り・・・実は、緑茶でもそんな香りのものが高級茶です!
一方で日本の釜炒り茶にある「釜香」。
これは香ばしさを含む香りで、煎茶の製造の一番最後に加える「火入れ香」に近い香りです。
違いは飲んですぐではなく、3、4煎目から感じる香りなこと。
お茶の香りって中々イメージしにくいと思いますが、皆さんが普通にお茶の香りだと思っている甘い香り、あれが火入れの香り。
実は、本来のお茶の香りは品種や製法でもっと個性豊かな香りがあるんです!
話は逸れましたが、日本人に好まれる香りを求めて独自に進化したのが日本の釜炒り茶です。
中国の釜炒り緑茶は、中国の方が好きな香りに進化していったお茶。
そこには優劣はなく、美味しいものを追求したそれぞれの努力の結果だと思ってください!
[ 日本で作る“大陸式”の釜炒り茶 ]
日本伝統の釜炒り茶は、ジャパンナイズされた釜炒り緑茶で大陸式の釜炒り茶とは違うものだと伝えてきました。
実は今、日本でも大陸式の烏龍茶のような香り高い緑茶の開発が行われてきています!
製法も台湾や中国の方式を学び、釜香の少ない、お茶の品種本来の香りを重視した炒り方や乾燥方法を取り入れて中国茶のように一日中飲めるようなお茶が出来つつあります。
このようなお茶は、紅茶や烏龍茶を製造している生産者を中心に少しずつ広がってきています。
従来の日本茶っぽい釜炒り茶はそのままに、新しい味、香りの釜炒り緑茶・・・
これからは国産のお茶のバリエーションが増え、いつか中国のような色々なお茶がお店に並ぶようになります☆